神戸学生青年センターでは以下のテーマで定期的にセミナーを行っています。
セミナーの開催情報は随時こちらのページでお知らせします。
朝鮮史セミナー
セミナーは、とりあえず2本が発足した。その一つは「朝鮮史セミナー」で、1972年6月に井上秀雄氏の「朝鮮の古代国家」によって第1回が始められた。この「朝鮮史セミナー」をはじめるにはきっかけがあった。センター理事の1人、西原基一郎(韓皙曦)氏がこの年3月にマッケンジー著「義兵闘争から三一独立運動へ」を翻訳出版し、その出版記念会がセンターホールにおいて行われた。その折参加者の間でこの歴史を今後も継続して学習していこうとの提案がなされ、早速企画委員が作られて朝鮮と日本の関係史を学ぶセミナーが発足することになった。
その後も引き続き、「現代朝鮮と日本」「朝鮮文化と日本」「朝鮮の文学」「李朝時代の思想」「朝鮮近代の民衆運動」「解放後の在日朝鮮人運動」「在日朝鮮人の民族教育」「現在の在日朝鮮人問題」「朝鮮解放40年・日韓条約20年」「兵庫と朝鮮人」「天皇制と朝鮮」「『強制連行』を問う」「日韓条約締結40周年」「中央アジアの朝鮮人」「「韓国併合」100年の年をむかえて」「コリア・映画の世界」「韓流ブームの源流と神戸」「東学農民革命120年」「日韓歴史認識問題とは何か」「ジェンダーから見る植民地主義」「四・二四阪神教育闘争の証言」「兵庫・コリアンの歴史の一断面-三宮、新湊川、武庫川-」「鄭鴻永さんの甲陽園地下壕発見、その後」といったテーマで行われた。
夏期特別講座として、朴慶植、鄭敬謨、金達寿、姜在彦、梶村秀樹、李進煕、中塚明、金賛汀、金石範、李恢成、大村益夫の諸氏を講師としてお迎えし泊まりこみのセミナーも開催した。セミナーに関連して、「山陰線工事と朝鮮人」「甲陽園地下壕」「神戸市立外国人墓地」などをテーマに国内フィールドワークを開催した。また、韓国に「歴史ツアー」「祭ツアー」として、済州島、江陵、公州、珍島、安東を訪ね、朝鮮民主主義人民共和国、カザフスタン・ウズベキスタンへも訪問している。
また演劇等のイベントとして、「成昌順・パンソリの夕べ」「水牛楽団コンサート」「沈雨晟・人形劇場」「金明洙・金一玉/韓国伝統舞踊」「瓦礫組・糞氏物語」「曺小女パンソリの夕べ」「がんばれ神戸!安致環ライブ」など。映画会でも、「江戸時代の朝鮮通信使」「ユンボギの日記」「沖縄のハルモニ」「忘却の海峡」「光州は告発する」「李朝残影」「族譜」「しばられた手の祈り」「世界の人へ」「風吹く良き日」「指紋押捺拒否」「レッド・ハント」「梅香里」「あんにょん・サヨナラ」「ウリナラ」「空色の故郷」「笹の墓標」「抗いの記」「アリラン2003」「異なる世界」「血筋」「帰国船」などを上映している。
20周年記念(1992年)には、李泳禧氏講演会を開催している。
1972年にスタートした朝鮮史セミナーは、2022年11月までに341回開催された。
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食料環境セミナー
セミナーの二本目は「食品公害セミナー」だが、このセミナーの発足に当たってもきっかけがあった。最初これは「婦人生活セミナー」として始められたが、このなかのひとつとして食品公害の問題を取り上げていた。この講演に参加した当時神戸大学農学部助手の保田茂氏とセンターとの出会いが、その後この問題を発展させていくことになる。そして翌1973年6月、「食品公害セミナー」が発足し第1回保田茂氏の「今なにを学び何をすればよいか」を皮切りとして現在まで毎月1回開催されている。1995年4月から名称を「食料環境セミナー」と変えている。
各シリーズのテーマは、「学校給食を考える」「農業と私たち」「海と私たち」「今、家畜に何が起こっているか」「食生活の総点検」「恐ろしい魔法の薬・界面活性剤」「今、子どもに何が起こっているか」「石油危機と食べもの」「農畜産物の安全性を考える」「医と食と健康」「ゴミと水と都市」「森と水と生きもの」「アトピーを考える」「今、米を考える」「生活環境と大震災」「ダイオキシンと住民運動」「子どもと環境ホルモン」「どうする!? タバコ」「気候変動問題を考える」「一粒の種子から農業を考える」「地域の力-食・農・まちづくり-」「農と出会い、農に生きる」「原子力発電を考える」再生可能エネルギーで地域再生」「若い人の農業実践から」「アグロエコロジー」などである。
以下のような記念講演も開催した。1980年12月特別セミナー「80年代をどう生きるか-公害の現状と私達のあり方-」宇井純氏、1982年には、100回記念講演として竹熊宜孝氏による「食べものと健康」。1987年9月にはセンター創立15周年記念講演として「せまりくる21世紀にむけて」と題して、粱瀬義亮氏と槌田劭氏によるシンポジウム。
1988年特別講演会「いりません!原子力発電」松下竜一氏、1991年9月には200回記念として「あなた、生活を科学していますか」坂下栄氏。2000年12月には、300回を記念して保田茂氏の「21世紀の食を問う」。2019年3月には、500回記念講演会保田茂氏の「日本の食料・農業・農村の未来」。2022年4月には、センター50周年記念講演会「農はいのちをつなぐー時代を超えて引き継がれていくもの・資本主義の先を考える―」宇根豊氏が開催された。
このセミナーでも以下のような映画が上映されている。「忍びよる農薬禍」「生きている土」「水俣の甘夏」「食物の安全性を追及する」「いのち耕す人々」「フランドン農学校の尾崎さん」「サルー! ハバナ キューバ都市農業リポート」「日本の公害経験~農薬その光と影」「遺伝子組み換えルーレット」。
食品公害/食料環境セミナーは、1973年6月から2022年11月までに、531回開催されている。
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現代キリスト教セミナー
センターが日本基督教団と密接な関係にあることについては先に述べたが、そのことからキリスト教思想に関するセミナーの開催が望まれ、1977年5月「近代日本とキリスト教」第1期が発足した。近代以降の日本のキリスト教を批判的にとらえて、正統的立場だけではなく多様な立場からキリスト教精神を生かした人々の思想、生き方を浮かび上がらせようとの意図をもってのぞんだ。「キリシタンから初期プロテスタントまで」「明治後期のキリスト教」「大正期のキリスト教」「昭和初期のキリスト教」「戦後日本のキリスト教」と5年間で1サイクルを終え、センター10周年記念講演として加藤周一氏を迎えて「日本文化の課題」を聞いた。
1982年4月以降は「近代日本の精神」として、1985年以降は「現代、こころの旅」「神戸とキリスト教を語る」に受け継がれ、1987年5月のセンター15周年記念講演には再び加藤周一氏を迎えて「日本文化対キリスト教」を聞いた。その後、「新共同訳聖書について」「賀川豊彦の全体像」「戦時下・キリスト教の一断面」「現代に生きる神学を学ぶ」「生と死」「戦後50年とキリスト教」「世紀末と宗教」「イエスとは何か」「20世紀のキリスト者」「いま、キリスト教を問う」「芸術のなかのイエス」「若手研究者による東アジアキリスト教史研究」「在日大韓キリスト教教会の歴史」などのテーマで開催されている。コロナ禍、休会中であるが、2019年までに199回のセミナーが開かれた。
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その他のセミナー
3本柱のセミナーのほかに、センターが主催あるいは共催・後援のかたちでいくつかのセミナーを開催した。
1972年には、のちに食品公害セミナーにつながる婦人生活講座 第1期「生活の中で考える」「私たちの生活は楽になるか」を河上民雄氏がはじめられ、翌年11月までの3期まで開かれた。
1974年以降「東南アジアセミナー」として「東南アジアの声を聞く集い」やティーチイン「アジア援助のすきま風」「タイにおける労働、住民運動」などを計18回行い、1975年には最初の東南アジア現場研修旅行を行った。この研修旅行はさらに第2回を翌1976年にも行っている。
また1975年から「現代と人間セミナー」として9回のセミナーを開いたが、寺山修司氏(76.5.7)もお招きしている。
高作先生と学ぶ会は、2014年、センターが共催する形でスタートした。初回のテーマは、「憲法の危機と沖縄-辺野古・普天間・高江が問う平和」。その後、「特定秘密保護法」「日の丸・君が代の戦後と現在」「安保法制定後の憲法問題」「天皇の代替わりと憲法問題」「敵基地攻撃能力の保有と憲法論」などをテーマに勉強会が続いた。2022年度よりセンター主催のプログラムとなり、「岸田政権と改憲問題」「米軍基地の環境問題と表現の自由」などをテーマに開催している。
ほかにも、六甲の小さな音楽会、村山康文写真展、多文化と共生社会を育むワークショップ、絵本をみる・きく・たべる、多賀健太郎絵画展、トモニプロジェクト、神戸平和マップ展、張雨均切り絵・書道作品展、林榮太郎ケーキ教室、居空間RoCoCo活動パネル展、劇団石ひとり芝居「在日バイタルチェック」、解放出版社の本展示販売展、技能実習制度廃止!全国キャラバンIN神戸などを開いている。
映画上映会としては、「にがい涙の大地から」「Marines Go Home-辺野古・梅香里・矢臼別」「蟻の兵隊」「また、また、辺野古になるまで」「1985年花であること・華僑2世徐翠珍的在日」「クロンビ、風が吹く」「ホームランが聞こえた夏」「女を修理する男」「ミャンマー関西・映画会」「100年の谺-大逆事件は生きている」「ドキュメント人間-大都会の海女」などを開いた。
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セミナーからの発展
「朝鮮史セミナー」との関連で生み出されたのが「朝鮮語講座」であった。初級講座は1975年5月に「むくげの会」の朝鮮語講座を引き継ぐ形で開講され、1976年4月に中級を、1976年7月に上級をそれぞれ開講した。毎年多くの人々が受講し、2002年度はワールドカップの影響もあって4つのクラスで約60名が学んだ。また、韓国のカトリック農民会等が、日本の有機農業運動との交流で学生センターを訪れるときには「通訳」の役割も担っている。開講3年目の1978年から受講者による「学芸会」が毎年行われ、朝鮮語劇の熱演で盛り上がった。10回続いた後に「卒業弁論大会」が開かれたこともあった。キムチチゲハイク、ポジャギ教室(尹英順氏 、金恩順氏)、韓国語手話講座(アンダンテ相永氏)も開催した。林賢宜さんの韓国料理教室は、センターのサロン室を使用して開かれている常設のプログラムで、人気が高い。
「食品公害セミナー」との関連から生じたのが、「食品公害を追放し安全な食べものを求める会」で、1974年に発足しセンター内に事務所を置いている。有機農産物をつくる生産者とこれを受ける消費者とが協力して、食品公害の実態を学習しながら、生活に必要なより安全な食べものを作るつながりをつくりだそうとの運動体である。(2022年3月に活動を終了した。)
また、食品公害・食料環境セミナーとの関連で青年たちを対象に「有機農業ワークキャンプ」が1987年8月より兵庫県氷上郡市島町一色農園の協力を得て97年まで行なわれ、94年には「市島発夏子体験」も企画した。また1994年には一色作郎氏を塾長に「農塾」がスタートし、2002年には渋谷冨喜男新塾長のもとで第10期をおこなっており、神戸市西区に実習農園も運営した。市島町をフィールドとする「森林講座」は、96年5月から始まり04年7月まで続けられた。グリーンウェーヴ例会(96年7月~01年3月)、淡路・海とみかん山体験(95年~99年)も企画した。
1994年に始まった農塾は、座学と実習を行うものだ。開催方法を工夫しながら現在まで継続されており、2022年は、第25期「生産者のお話と農産物販売」が開かれている。ウエスト100のサロン室での「ろっこうおーがにっく市」での販売が好評である。
土曜ランチサロンは2009年の「ラオスに『海外協力隊』として行ってきました」(天野郡壽氏)から始まった。2017年9月からは土曜ティーサロンへ変更し、「地球の歩き方」の雰囲気で、ソウル、ウガンダ、中国、マニラ、六甲山、マラウイ、アテネ、ホーチミン、台湾、セルビア、ミクロネシア、インドネシア、ネパール、セネガル、ハワイ、タイ、ジンバブエ、モンゴル、インド、アフガニスタン、ミャンマー、ノルウェー、サハリン、コスタリカ、ドイツ、イラク、ポルトガル、パラグアイ、アジスアベバ、タンザニア、モスクワを「歩いて」いる。
センターに事務所をもつ神戸大学YMCAは、OBOG会を中心に、6月の講演会と12月のKOBE Mass Choirクリスマスコンサートを開催している。(コロナのために中断)
またセンターに事務所をおく「多文化と共生社会を育むワークショップ」は、2006年以降センターと共催で、音楽会、講演会、ワークショップを開いている。
こうしてふりかえってみると、この50年間、実に多彩なセミナーを開催している。詳細は別項のセミナー記録をご覧いただければ幸いです。