六甲奨学基金

六甲奨学基金は、神戸学生青年センターでの阪神大震災時の被災留学生支援活動を経緯とし、1995年11月に発足しました。以来、基金は毎年アジアからの留学生に対し、月5万円の奨学金を給付し、受給者の数はのべ164名(2024年4月現在)となりました。

現在の基金の主な活動は毎年4~10名の兵庫県下のアジア人留学生への奨学金の支給と、留学生とその家族などを対象にした日本語ボランティア教室の開催です。活動はすべて基金から毎年一定額の支出と、募金でまかなっています。

アジアとの友好関係を深めることがますます重要な意味をもつようになる今後の日本において、その未来を左右する鍵を握るといっても過言ではない若い留学生たちが、少しでも多くその留学生活を実り多きものとするための支えとなるのが奨学金の存在です。

今後も永くこの奨学基金制度を続けていけるよう、多くの方のご協力をお願いします。

最新の奨学金情報

基金の趣旨

六甲奨学基金の趣旨(PDF版)

六甲奨学基金は、1995年1月17日の阪神淡路大震災によって被災した留学生のために全国から寄せられた寄付金から、一時金3万円を計767名に支給し、その残額約1300万円を原資として創設されたものです。奨学金支給が開始されたのは1996年4月。それ以降、基金は毎年、アジアからの留学生4~10名に対し、月5万円の奨学金を給付し、受給者の数は164名となりました。

これまで28年にわたって奨学金の支給を続けてこられたのは、原資に加えて、多くの方々の寄付、神戸学生青年センターで春に開催される「古本市」の売上げ、基金運営委員を講師とする講座の受講料収入等により基金を維持してきた結果といえます。特に、奨学基金の趣旨に賛同する全国の方々が古本を寄せてくださることにより、「古本市」の収益が400万円を上回るようになりました。2021年5月に移転をした先では常設開催の「古本市」を続けています。規模こそ以前のようにはいきませんが、みなさまから支援していただき順調に売上をのばしています。

この奨学基金の特長の一つは、大学等に在籍する留学生だけでなく、日本語学校に学ぶ留学生に対しても奨学金の支給を行っている点です。一般に日本語学校に学ぶ留学生は、応募できる奨学金も少なく厳しい条件の下での勉学を余儀なくされています。本基金では当初から日本語学校に学ぶ留学生の支援を続けています。

日本にとって、アジアとの友好関係を深めることがこれからますます重要な意味をもつようになります。若い留学生は、日本とアジアとの未来の関係を左右する鍵を握る人たちと言っていいでしょう。少しでも多くのアジアの若者が、日本への留学から多くのことを学び取り、日本での生活を実り多いものにすることができるよう、六甲奨学基金に対し、今後とも多くの方々のご理解とご協力をお願い致します。

2024年4月

(公財)神戸学生青年センター・六甲奨学基金運営委員会

岩坂 二規(運営委員会委員長、関西学院大学准教授)
梁 英 子(元弁護士)
松田 道子(神戸YMCA 本部事務局長)
小林 致広(神戸市外国語大学名誉教授)
後藤 玲子(弁護士)
川上 尚恵(神戸大学グローバル教育センター講師)
飛田 雄一(神戸学生青年センター理事長)

公益財団法人神戸学生青年センター
〒657-0051 神戸市灘区八幡町4-9-22 TEL 078-891-3018 FAX 078-891-3019
ホームページ https://ksyc.jp e-mail info@ksyc.jp

基金設立の経緯:阪神大震災と六甲奨学基金の設立

1995年1月17日の阪神淡路大震災で学生センターも給水設備の破損などの被害をうけたが、幸いなことに建物はそのまま使用が可能な状況であった。センターでは、フロン回収などの環境問題へのとりくみとともに、被災留学生・就学生の支援活動に取り組んだ。センターの避難所としての提供、住居の斡旋、生活一時金の支給(一人3万円)、救援物資の配給などを行なった。

全国からは多くの募金が寄せられ、767名の留学生・就学生に計2301万円が支給された。一時金の支給は、当時アルバイトをしていた韓国人留学生・鄭燦圭さんの「震災時の留学生・就学生にとって早期に支給される生活一時金は貴重である」という提案に応えたものだった。

また、日本語ボランティアの教室が使えなくなってセンターに来られた松岡静子さんの提案を受けてボランティア日本語教室=日本語サロンが発足した。毎週月・土曜日にセンター内でひかられており、生徒とボランティアは年々増え、これまでに975名の学習者の参加があり、2022年度には学習者39名、ボランティア教師が36名でマンツーマン形式の授業を行なっている。

全国から寄せられた募金の残高約1300万円から「六甲奨学基金」がつくられた。兵庫県下のアジアからの留学生・就学生に月額5万円の奨学金を支給するもので、96年度より現在まで、毎年4~10名計156名に支給している。支給総額は、2022年度までで9255万円になる。2004年~2008年には三木原さんの寄付3000万円で三木原奨学金(のち一粒の麦奨学基金)が作られて40名に支給された。

六甲奨学基金は、震災時の日本DECからの寄付金1000万円に支援金の残金300万円でスタートした。当初引き続き寄付をつのることによって10年間毎年300万円の奨学金支給をする計画であった。しかしその後の寄付が集まらず、資金集めのために1998年に始めたのが「古本市」。3~5月の60日間の開催で、多い年は450万円を売り上げた。新しいセンターに移転後は常設古本市となっている。2022年1月~12月の売り上げは2,332,485円となった。

1998年にスタートした古本市の2022年12月までの総売り上げは、8042万円となっている。60万円(月額5万円)の奨学金、134名分に相当する。古本市の成功がなければ六甲奨学基金は継続できなかったことになる。

日本語サロンの関連では、ボランティア養成講座、やさしい日本語講座、基金運営委員による「実践・日本語学習支援講座」も開催された。