======================================================================== 青丘文庫研究会月報<209号> 2006年12月1日 発行:青丘文庫研究会 〒657-0064
神戸市灘区山田町3-1-1 (財)神戸学生青年センター内 TEL 078-851-2760 FAX 078-821-5878 http://www.ksyc.jp/sb/ e-mail hida@ksyc.jp @在日朝鮮人運動史研究会関西部会(代表・飛田雄一) A朝鮮近現代史研究会(代表・水野直樹) 郵便振替<00970−0−68837 青丘文庫月報>年間購読料3000円 ※ 他に、青丘文庫に寄付する図書の購入費として2000円/年をお願いします。 ========================================================================= ●青丘文庫研究会のご案内● ※日程にご注意ください。 ■第245回朝鮮近現代史研究会 12月24日(日)午後3時〜5時 『歴史物語朝鮮半島』(朝日選書)の仕事のなかで考えたこと 姜在彦 ■第287回在日朝鮮人運動史研究会関西部会 12月24日(日)午後1時〜3時 解放後の在日朝鮮人運動と朝鮮史研究―50年代を中心に― 宇野田尚哉 終了後、忘年会をひらきます。(おそらく神戸駅前「和民」) ※会場 神戸市立中央図書館内 青丘文庫 神戸市中央区楠町7-2-1 TEL 078-371-3351 (地下鉄大倉山駅下車すぐ、JR神戸駅北10分) 一枚の賞状の写し 横山篤夫 ※ http://www.ksyc.jp/sb/20061201geppou.pdf をごらんください。 ●朝鮮近現代史研究会 2006年10月8日 済州4・3運動と特別法、そして21世紀 趙誠倫(済州大学校 教授・社会学) 韓国現代史において済州4・3事件は最も大きな事件の一つであったが、数十年間歴史の闇に埋没させられてきた。反共を国是とし北朝鮮政権と対立してきた歴代の軍事独裁政権下で、済州4・3事件は口にできないタブーであった。 しかし、ある程度の経済発展が達成された1980年代後半、民主化運動の高まりとともにこうしたタブーは打ち破られていった。そして4・3運動が始まる。4・3運動とは、4・3事件の実態・真相を明らかにし、不当に殺された人々の名誉を回復する作業までを包括的に解決しようとする集団的な運動である。この運動は済州大学の学生たちから始まり、市民団体へと広がった。 この運動が大きく広がる過程において、在野団体として結成された4・3研究所の調査活動、さらには新聞(初めは「済州新聞」で「済民日報」へとつながる)の4・3企画チームが、「4・3を話す」という毎週の連載を10年間にわたり継続したことが、決定的な役割を果たした。その結実として、2000年1月に『済州4・3事件真相糾明および犠牲者名誉回復に関する特別法』が制定された。 この法律に基づき、済州4・3事件真相糾明および犠牲者名誉回復委員会が構成され、活動が開始された。その活動は、済州4・3事件真相糾明調査報告書の作成であり、犠牲者および遺族の申告であった。調査報告書は、資料収集において軍や警察署の消極的な対応もあったが、2年余にわたる研究・調査の末、2003年10月に確定された。この報告書の基づき、盧武鉉大統領が公式謝罪した。過去の大量虐殺事件中、最初に国家元首が対国民謝罪したことの意味は大きい。 犠牲者および遺族の申告では、犠牲者範囲決定の過程で深刻な意見対立があったが、現在までに14,373人が被害者申告をした。しかし、申告しない人も多いのが現状で、とりわけ社会的に成功して比較的安定した地位にある人が申告しない傾向にある。 こうした事業と並行して、名誉回復事業として4・3平和公園および資料館の建設が進められた。これまで第一段階である追悼慰霊施設は完成し、第二段階の資料館も2008年には完成予定である。 このように、4・3問題の解決の主導権は政府の手に渡されたが、相対的に在野団体などの運動は弱くなった。ここで、今後の4・3運動の課題についていくつか挙げてみたい。 一つは、「共産暴動」とも「民衆抗争」とも呼ばれてきた4・3の正しい呼称の確定である。また、4・3以後50余年にわたって住民たちの人生に大きな影響を及ぼしてきた肉体的?精神的傷の実態を究明する研究である。こうした研究は非常に重要であるにもかかわらず、これまではほとんど取り組まれてこなかった。 平和公園および資料館では、歴史的教訓を後世に正確に伝えるとともに、済州島を平和の島として発信できる象徴的なものでなければならない。また、4・3運動と他地域での虐殺真相糾明運動との連帯も必要である。最後に、慰霊祭の形式化や遺族会幹部と4・3運動団体の官辺化をいかに克服していくかという課題も挙げておきたい。(まとめ/堀内稔) 在日朝鮮人史研究36号(在日朝鮮人運動史研究会編、緑陰書房、2520円) 特価2000円+送料160円=2160円でお分けします。 ご希望の方は、郵便振替<00970−0−68837 青丘文庫月報>にご送金ください <目次> ・ 「併合」直前・後における在日朝鮮人留学生を取り巻く状況 ・ ―朝鮮総督府の留学生取り締まりと「収容」政策― ペ?美 ・ 一九二二年大阪朝鮮労働同盟の設立とその活動の再検討 塚崎昌之 ・ 安光泉と<東洋無産階級提携>論 黒川 伊織 ・ 朝鮮人戦時労働動員における民族差別 古庄 正 ・ アジア太平洋戦争下日曹天塩鉱業所朝鮮人寮第一・二尚和寮の食糧事情 守屋 敬彦 ・ 「朝鮮人第五方面軍留守名簿」にみる ・ 樺太・千島・北海道部隊の朝鮮半島出身軍人 北原 道子 ・ 在日朝鮮人の帰還援護事業の推移−下関・仙崎の事例から 鈴木 久美 ・ 越境者と占領下日本の境界変貌 ・ −英連邦進駐軍(BCOF)資科を中心に マシュー・オーガスティン ・ 神戸市長田区「大橋の朝鮮人部落」の形成一解消過程 本岡 拓哉 ・ <資料超介>「在広鮮人生活状態」 宮本 正明 <新刊紹介> 篠山市人権・同和教育研究協議会編 「デカンショのまちのアリラン ―篠山市&朝鮮半島交流史―」 神戸新聞出版センター 2006.12 2100円 青丘文庫研究会の金慶海さん、藤井幸之助さんも執筆しています。 李修京編 「韓国と日本の交流の記憶 ―日韓の未来を共に築くために―」 白帝社 2006.11 2310円 【今後の研究会の予定】 次回は、2007年1月14日、在日・高仁鳳、近現代史・金慶海。2月11日、在日未定、近現代史・河原典史、3月11日、在日・高野昭雄、近現代史・李景a。研究会は基本的に毎月第2日曜日午後1〜5時に開きます。報告希望者は、飛田または水野までご連絡ください。 【月報の巻頭エッセーの予定】 1月号以降は、山地久美子、伊地知紀子、稲継靖之、宇野田尚哉、金誠、佐藤典子、佐野通夫、田部美智雄、張允植。よろしくお願いします。締め切りは前月の10日です。 【編集後記】 ・ 師走になってしまいました。1年が早いです。まあ、仕方がないので忘年会をいたしましょう。 ・ 2006年も充実した2つの研究会がもてたと思います。夏には済州島でのフィールドワークおよびシンポジュウムも開催することができました。月報に出来るだけ報告を載せるようにしたいと思っています。研究会で発表された方は報告原稿を飛田までよろしくお願いします。 ・ 巻頭言の横山さんの原稿は、丁寧な原稿なので、ずぼらをしてそのまま利用させていただきました。 ・ 青丘文庫月報は、メールでも配信しています。ご希望の方は、飛田まで申し込みをよろしくお願いします。(飛田、hida@ksyc.jp) |