１９７８年の第１回日韓ＵＩＭ協議会の開催から２０年、第３回協議会から１６年を経て今回の開催にいたったのは、「グローバル化する社会における日韓ＵＲＭ運動の課題と役割」という主題にも明らかなように、昨今、経済のグローバル化の進行により、より広い視野での日韓ＵＲＭ運動の役割が求められていると考えられるからである。

　そのために我々は協議会において、都市産業宣教、農業問題、都市労働貧民問題、移住労働者等の課題を中心に、近年における日韓の現場経験を共有し、相互の学びの機会をもった。

　WTOとIMF等国際金融資本の世界化と物質第一主義は、生態環境の危機をもたらし、生活の現場のいたるところで新たな抑圧と疎外を生みだす。それが構造的な問題であることを見通し、民衆と連帯する中で問題の根本的な解決をはからなければならないこと、お互いがぶつかっている壁を、双方の経験の交換を通じて乗り越えていくことなどを協議し、力を与えられた。

　さらに、これまでの交流の歴史を踏まえ、次世代の日韓ＵＲＭの出会いの場を提供し、また、その担い手を育成するためのトレーニングプログラムを準備すること、そして未来に向けた日韓ＵＲＭ運動の課題を共有することも確認した。

　また、主題講演や特別講演を通じて、今日における日韓ＵＲＭ運動のアジアにおける役割の重要性を学んだ。アジア全体が深刻な経済危機をむかえ、その中にあって苦しんでいるアジア各国の民衆の姿を見いだすとき、今だからこそ我々はこれまで培ってきた日韓ＵＲＭの連帯と協力の経験を生かし、ＵＲＭとしての使命をアジア各国に対して果たすべき時である。それはＵＲＭこそが福音の核心であり、主の命令だと信じるからである。しかしながら、そのような重要性に逆行するかのようなキリスト教内外の動きを我々は憂慮している。

　今、日韓ＵＲＭはこれまで以上に強く連帯すべきである。そして、ともにアジア各国の民衆の苦難を分かちあい、ともに希望を分かち合う我々でありたいと強く願う。

我々は、以下の具体的な課題を共通課題としてともに担っていく者たちであることをここに明らかにする。

１．労働問題に対して

　−我々はIMF等世界金融資本の横暴に対し共同対応する一方、アジアに進出した日韓の多国籍企業の横暴に対し共同で監視し対策活動をおこなう。

　−韓国の現代自動車事態に見られるように、社会福祉制度が不完備な状態で、アジア諸国で進められている一方的な整理解雇、大量失業に対し共同で対処する。

　−我々は移住労働者が受けている苦痛に深い関心をもち、日韓両政府に対し国連が定めた「移住労働者とその家族の権利条約」を早急に批准することを求める。

２．農村問題に対して

　−我々はWTO体制による農村破壊を阻止し、人間と自然が共にいきるために土の回復をはかり、食糧の自給自足のための有機農業を推し進める。

３．都市労働貧民、低所得住民に対して

　−我々は去る１９９６年のHABITAT�Uで謳われた、民衆の居住権の保障と住民自治のための多様な活動をする。

　−我々は、ウトロ住民の居住権を要求する運動を支援するとともに、東九条４０番地住民の文化・生活権の保障のためにともにたたかう。

４．アジア地域の平和、平等の実現のために

　−我々は過去２０年間の日韓URM交流の経験を土台にインドネシア、ビルマ、カンボジア等アジア全体のURM運動の強化のため努力する。

　−我々は朝鮮半島の平和統一がアジアの平和と直結していることを重視し、南北合意書の履行と平和協定締結、軍縮実現（米軍基地問題）によって自主的な平和統一がなされることを希望する。また、日米間で謀られている新ガイドライン（日米軍事同盟）が、アジアのみならず世界の平和にとって危険な存在と認識し、反対する。

５．世界教会協議会(WCC）とアジアキリスト教協議会(CCA)に対して

−アジアの民衆の現実を見るとき、我々はURM運動の重要性を再認識せざるを得ない。　　従ってWCC−URM委員会の早期再建を希望する。CCAに対して特にURM委員会に対する持続的関心と支援をはかるよう望む。

６．日韓URM交流、協力の持続的発展のために

　−第５回日韓URM協議会を２０００年に韓国で開催する。

　−我々は日韓URM協議会を通して労働問題、農業問題、都市労働貧民問題等課題別の集まり、活動家、住民指導者の相互教育、研究、情報交換に関する持続的で具体的な活動をする。

１９９８年８月２６日

第４回日韓ＮＣＣ−ＵＲＭ協議会 参加者一同

日本キリスト教協議会都市農村宣教委員会（NCCJ-URM）

韓国基督教教会協議会都市農・漁村宣教委員会（NCCK-URM）