共同アピール・通信
・ 1998年 5月月14日・No.11有 事 法 制 を 国 会 に 提 出
政府は4月28日、「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案(周辺事態法案)」と「自衛隊法改正案」を閣議決定して、国会に提出した。また、同日、「日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案」にオルブライト米国務長官と小渕外相が署名し、30日に承認を求めて国会に提出された。
アジア・太平洋地域での米軍の軍事行動に日本が本格的な軍事協力
「周辺事態法案」と「ACSA改定」は、アジア・太平洋地域において、軍事的・経済的な覇権の確立をめざすアメリカが、軍事介入を行うとき、アメリカの軍事行動を日本が全面的に支援する法体制を築こうとするものとなっています。日米安保条約が、日本の領域に対する軍事攻撃を日米共同軍事行動発動の要件にしていることを考えると、日本が何ら攻撃を受けていないにもかかわらず、日米共同軍事行動を展開する体制つくりを行うことになるもので、日米安保体制の決定的な転換となるものです。
米軍の軍事行動に日本が自動的に参戦……法案では、「周辺事態」の認定について判断する手続きの規定が一切なく、米軍が「必要」と判断して軍事介入すれば、自動的に日本が米軍協力のための「基本計画」を閣議で定めるものとなっています。日本が軍事行動を行うという重大問題であるにもかかわらず、この「基本計画」は、国会の「承認」を必要とせず、ただ「報告」すればよいことになっています。
「基本計画」には、米軍への兵員、武器・弾薬の輸送、燃料・食料の補給、兵器の修理・整備、情報提供、米兵の捜索救助船舶の臨検などがもりこまれる。
こうした行動は、日本国内のみならず、公海上およびその上空でも展開されることとされ、米兵の捜索救助では他国の領海でも行われることとなっています。また、米兵の捜索救助、船舶臨検の際には武器の使用も認められています。このような後方支援活動は、軍事行動を支えるもっとも基本的な活動であり、国際法上、日本の参戦行為とみなされるものです。
村岡官房長官「周辺事態においては、武器輸出禁止三原則の適用を除外する」……28日、官房長官は左記の談話を発表しました。改定ACSAや周辺事態法案では、武器・弾薬の輸送を行うが、補給はできないこととなっています。しかし、航空機や艦船、通信機器などの各種装備の「修理及び整備」を行うこととなっており、この「修理・整備」には、輸出貿易管理令に定める「武器」に該当するものを提供することが当然に含まれることになります。そこで、政府は、「日米安保体制の円滑、効果的な運用に寄与する」ことを名目に、「武器輸出禁止三原則」の適用を除外することにしたものです。1982年に「アメリカに対する武器技術の輸出」を容認したことに続く、適用除外ですが、「武器」そのものの提供は初めてのことになります。9条のもとで「他国民殺傷の武器は輸出しない」とする私たちの誇りが失われようとしています。
地方自治体、民間をも軍事協力に動員……法案は、「地方公共団体の長に対し、…必要な協力を求めることができる」「国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる」と規定しています。民間の港湾・空港の使用、そこでの積降ろし等の作業、補給・輸送、修理・整備、医療、通信などの関係業者、その施設・設備、労働者などが動員されることになります。この規定の解釈としては、「一般的な義務規定だ」「要請に従わない場合は、違法な状態となる」と、「法的義務」規定であるとの政府高官の発言が報じられています。
有事法制」制定に反対する集会5月22日 午後6時 中央労働センター大ホール
「決意表明と「有事法制」の解説(神戸大学・和田進)
午後7時〜 デモ行進(中央労働センター⇒⇒県民会館南⇒⇒東急ハンズ⇒⇒阪急三宮)
問い合わせ先 兵庫憲法会議(078−351−0677)
憲法・兵庫会議(078−361−3655)
神戸学生青年センター
(078−851−2760)神戸YWCA
(078−231−6201) 共同アピールの会HP、通信目次、にもどる