共同アピール・通信
・bP0・1998年 4月 3日ガイドライン体制具体化の有事法制準備急ピッチで進む
日本有事とは無縁の日米軍事協力体制の具体化をめざす有事立法制定の作業が急ピッチですすめられています。
日米物品役務相互提供協定(ACSA)の「有事適用」への改定
1995年4月に締結され、10月に発効したACSAは、水、食料、燃料、航空機等の部品、輸送、通信、医療、修理・整備、施設利用など15項目にわたっての米軍への物品・役務の提供を規定しています。しかしこれらの提供は、共同訓練、国連平和維持活動、人道的国際救援活動を対象としていました。しかし、新ガイドラインでは、直接戦闘行動を展開する米軍に、日本が「支援」することとなっており、そのため、ACSAを「有事=戦時」にも適用するように改定する方針を固めています。四月下旬にもアメリカとの間で議定書を締結する方向で準備をすすめています。
米軍支援の「新規立法」制定
新ガイドラインで打ち出された40項目に及ぶ「周辺事態」での日本の米軍支援の軍事行動のため、「米軍支援法」「周辺事態法」とでも呼ぶべき新法制定の準備がすすめられています。3月に開かれた関係17省庁局長等会議では、「新法」の素案が検討されています。そこでは船舶の臨検、米軍への多様な支援が規定されています。また、地方自治体や民間の協力の確保のための協力規定もおかれることとなっています。日本の領域外でも行なわれる日本の軍事行動という重大事態を、国会にかけることなく、閣議決定で行なおうともしています。海・空域の米軍優先使用の仕組みも検討されています。
自衛隊法の「改正」による軍事行動の拡大
戦闘により負傷した米兵の捜索・救難のための自衛隊の行動のための自衛隊法83条の改正(災害派遣の条項)、在外邦人輸送のための自衛隊艦船の使用と武器使用のための自衛隊法100条の8の改正などが検討されています。船舶の臨検にかかわっては、自衛隊法100条の10の新設も検討されています。
また、機雷の除去や警戒・監視活動、「敵」から攻撃されたときの武器使用などについては、自衛隊法95条や99条などの拡大解釈で対応しようとしています。
今国会で、すでに進行している有事法制
内閣法「改正」による内閣危機管理監の新設……3月31日に内閣法の 改正案が国会で可決されたことにより、大規模な事件・災害の際に、内閣6室を統括・指揮する内閣危機管理監が新設 されることになりました。初代には、元警視総監の安藤忠夫氏が7日に任命されます。
防衛庁設置法「改正」案が衆院安保委で可決……自衛隊の統合幕僚会議の権限強化(陸海空三自衛隊の統合運用のための指揮権の拡大)、陸上自衛隊の機動性強化のための旅団の創設、米軍への支援を強化する海上自衛隊の補給本部の創設などをおりこんだ、防衛庁設置法の「改正」案が4月2日、衆院安保特別委員会で共産党の反対だけで可決されています。
PKO法「改正」案、国会提出……1992年に強行採決された国連平和維持活動等協力法(PKO法)の「改正」案が3月13日に国会に提出されています。憲法違反との批判のなかで、武器使用の権 限が個人の判断にゆだねられていたものを上官の命令によるものとし、自衛隊の部隊としての武力行使に道をひらくものとなっています。
第5回学習会 「新ガイドライン」で治安立法・有事立法はどうなる
講師:藤木邦顕さん(自由法曹団大阪支部軍事問題研究会) 参加費 500円 98年4月9日午後6時15分〜 三宮勤労会館
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