共同アピールの会・通信・6号(98年1月12日)
朝鮮半島有事で、負傷米兵千人の治療を日本で、米 要求
緒戦1ヵ月で、米韓軍人約12万人の死傷者想定
昨年12月1日付け神戸新聞は、「米国が朝鮮半島有事の際の緒戦での米軍人、韓国軍人などの死傷者を約12万人と想定して日本政府に伝えた上で、新たな日米防衛協力の指針の医療支援に基づき、重傷米兵約千人を日本の病院で手術や治療できるよう要求していることが、分かった」と一面トップで報じた。
報道によると、この数字は米軍の最高秘密事項で、韓国民間人も一部含まれるとされるが、民間人の犠牲者数は算出が困難なため、ほぼ米韓両国軍人の死傷者を示すとみられる、としている。在日米軍などによると、米軍は朝鮮有事の際の戦傷者の治療については、戦闘の状況に応じて@韓国内の病院や野戦病院、A米軍の病院船などの艦戦、B在日米軍基地内の病院ーと、より安全な施設に順次移す計画をもっている。
今回、米国が日本に求めた約千人分の医療支援は、在日米軍の病院を使っても収容できない人数に相当し、重傷の米軍人に手術などの治療をし移動に耐えられるまで回復した後、米本土に移送するという。
自衛隊病院、国立病院、日本赤十字病院、国立大学病院、自治体の公立病院を想定
米側の要請を受け、内閣安全保障室、防衛庁を中心に外務、厚生、文部、自治など関係省庁がどこまで施設提供が可能かなどの検討を始めている。最優先施設を全国に16ある自衛隊病院と防衛医大病院の計17病院とし、収容しきれないときは、国立病院や日本赤十字病院などの公的病院まで想定。さらに文部省所管の国立大学病院や各自治体の公立病院が比較的提供しやすいとみている。
自民党国防部会などでは「医療施設を強制使用する法的措置が必要」との意見もだされている。
アメリカへの軍事協力のための有事立法の国会提出準備進む
「周辺事態基本法」「船舶検査法」の制定、「日米物品役務相互提供協定」の有事適用、自衛隊法改正など検討
昨年10月に発足した関係17省庁での新ガイドライン具体化のための局長級、課長級会議は、急ピッチで有事法制の制定作業を展開している。今月20日に来日するコーエン米国防長官との会談までに骨格を固める方針。
各紙の報道を総合すると、「日本周辺有事」における米軍協力のための法整備に焦点を合わせている。そこでは、可能ならば「周辺事態基本法」を新たに制定して、米軍への軍事協力である補給、輸送など各種対米軍事支援を一括してもりこみたいとしている。また、船舶の臨検については新法を制定し、日米物品役務相互提供協定の有事への適用のための改定がすでに日米間で検討されている。在外邦人救出のための自衛隊艦戦の海外派遣のための自衛隊法改正も打ち出されている。
こうした海外での軍事行動を含む軍事協力について、国会の承認を求めることなく、閣議や安全保障会議での「周辺事態」の認定を行なうことで実施できるようにしている。
第3回学習会「日米軍事協力体制構築のねらいと背景
−医療・福祉・労働法制・教育「改革」と新ガイドライン」
講師:二宮厚美(神戸大学教授)
2月6日
三宮勤労会館 共同アピールの会HP、通信目次、にもどる