講演会「台湾近現代史を見る視点–台湾は「親日」なのか、「独立」すべきなのか」

最終更新日: 2013年01月27日

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「台湾近現代史を見る視点–台湾は「親日」なのか、「独立」すべきなのか」

チラシ → 201303taiwan

講師:金沢学院大学経営情報学部・基礎教育機構准教授/NPO法人汎太平洋フォーラム副理事長

酒井 亨(さかい・とおる)さん

講師紹介:著書に、『哈日族 なぜ日本が好きなのか』(光文社新書、2004年)、『台湾海峡からみたニッポン』(小学館文庫、2004年)、『台湾 したたかな隣人』(集英社新書、2006年)、『台湾ってどんな”国”?』(日中出版、2008年)、『台湾×夜市 ワンテーマ指さし会話』(情報センター出版局、2010年)、『台湾人には、ご用心!』(三五館、2011年近日刊行予定)などがあります。

■日時:2013年3月9日(土)14:00

■会場:神戸学生青年センター ■参加費:600円

■主催:(財)神戸学生青年センター&NPO法人汎太平洋フォーラム

2012年9月25日、台湾漁船約40隻が台湾政府海岸巡防署の巡視船8隻とともに尖閣諸島(沖縄県)周辺の日本領海に侵入する事件が起こった。近年「親日」として知られる台湾および台湾人のイメージと反するかのような動きに、日本のマスコミに驚きの声が上がり、一部には中国との連携を憂慮する意見も出てきた。

しかし、ここにいくつかの思い込みや落とし穴があるように思われる。

まず、台湾の「親日」についてである。台湾住民が全体的に「親日敵」であることは否定できないだろう。だが、問題は「親日」の定義と中身である。台湾が「外国」であるかどうかは別として、日本と文化が異なる以上、台湾の「親日」は日本人が期待する「親日」とは異なるはずである。また、台湾は日本や韓国などと異なり、明確な多言語社会であり、「台湾人」とひとくくりにできない事情も見過ごしてはならない。さらに、「韓国は反日だが、台湾が親日」と対比されることが多い点にも検討を加えたい。

第二に、台湾住民が日本人の「親日」イメージと異なる言動を行った場合に、即「中華人民共和国」と結びつける言説の可否についてである。ここにはおそらく台湾が中国と共有するものが多いという思い込みのようなものが介在しているように思われるが、それが台湾政治・社会の現実と照らして妥当なのかという点である。

第三に、これはなぜか日本国内では議論されることが少ないが、現在日本の領土処理に直接関係してきた戦後米国の思惑についてである。尖閣諸島は米国が沖縄返還とともに日本に引き渡されたが、現在米国は尖閣諸島の帰属そのものについては曖昧にしている。さらにかつて日本が植民地支配した台湾および朝鮮半島南半部(韓国)は、戦後直接間接を問わず米国の強い支配下に置かれ、反共総動員体制が敷かれてきた。民主化後も共産主義政党が合法化されたわけではなく、この点は本質的に変わっていない。

台湾は客観的に国家としての要件は備えながらも、国際社会から独立国家としては認められておらず、住民のアイデンティティは一致していない。その意味では、冷戦体制を引きずるアジア政治の矛盾を体現しており、アジア・太平洋地域について語るうえで素通りできない存在であり、テーマであると考える。(酒井)


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