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青丘文庫月報・176号・2003月1月1日

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※ 他に、青丘文庫図書購入費として2000円/年をお願いします。
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あけまして おめでとう ございます。
本年もよろしくお願いします。
2003年正月
青丘文庫研究会
         朝鮮近現代史研究会代表 水野直樹
  在日朝鮮人運動史研究会関西部会代表 飛田 雄一

●青丘文庫研究会のご案内●

●第246回在日朝鮮人運動史研究会関西部会
 2003年1月12日(日)午後1時
「続・体験で語る解放後の在日朝鮮人運動」 姜在彦
※ 『体験で語る解放後の在日朝鮮人運動』(神戸学生青年センター出版部、1989年、1500円)の姜在彦先生の部分を事前にお読みください。特価1000円、飛田まで。

●第214回朝鮮近現代史研究会
 1月12日(日)午後3時
書評・朴恩慶『日帝下朝鮮人官僚の研究』(ソウル)
堀添信一郎(滋賀大学大学院)

会場はいずれも青丘文庫(神戸市市立図書館内)

第211回 朝鮮近現代史研究会2002年9月8日(日)

植民地朝鮮で朝鮮語を学んだ日本人 山田寛人

 報告では、植民地期の日本人による朝鮮語学習に関する従来の研究の問題点を二点、指摘した。第一に、「日本語強制」、「朝鮮語抹殺」といった言説が実態をそのまま示すものとして語られてきた点。そのために、日本人が朝鮮語など学んでいたはずがないというイメージが作られた。第二に、日本人が朝鮮語を学んだことは認めながらも、それが支配を円滑に進めるための特殊な目的によるものにすぎず、その規模も大したものではなかったとされてきた点。植民地権力側の政策意図がそこにあったことは事実だが、それが政策側の言説のみにもとづいた評価であるために、学習奨励の実態が詳細に検討されることがあまりなかった。
 以上の二点が問題であると考えるのは、日本人が朝鮮語を学ぶことは「よい」こと、日本人が朝鮮人に日本語を教えることは「わるい」こと、或いは、植民地期の日本人による朝鮮語学習を「遠い世界」の「遠い過去」のものととらえて「戦前」の朝鮮語学習は「わるい」こと、現在の朝鮮語学習は「よい」こと、というように単純に図式化して把握することにつながりかねないからである。
 総督府による朝鮮語奨励政策は、教員、警察官、金融組合理事などに対するものの実態を検討すると、時期によっては実質的にほぼ全員が学習しなければならない制度が実施されており、「奨励」というよりも「義務」に近い面もあったことがわかった。したがって、学習者自身の意識も、就職や昇進のため、あるいは官公吏等の義務として学ぶというものだった。また、朝鮮語の能力は、職務を効率的にこなすというほどの水準に達する者は少なかったものの、片言の朝鮮語であっても朝鮮人から親しみをもたれるなどの効果はあった。
 さらに報告の最後に、植民地期の「日本語強制」の実態をどうとらえるのかについても以下のような提言をした。日本語で教育を行う普通学校への就学率が高まったことや、戦後、日本に戻った元教員が多くの朝鮮人生徒から親しまれ交流をしている事実は、当時、表面的には「自主的」に日本語を学ぶ朝鮮人がいたことを示唆している。こうした事実を無視するのではなく、こうした構造を問題にする視点が必要だろう。

第244回 在日朝鮮人運動史研究会関西部会11月10日(日)
戦前および占領期の大阪市における在日朝鮮人に関する地理学的研究
福本 拓(京都大学・院生)

本研究の視角は,次の二点を主要な論点に据える。すなわち,@皇民化政策といった日本独自のコンテクストにおけるエスニック集団研究を行うこと,A「在日朝鮮人」というカテゴリー形成に果たした都市政治権力の役割に着目し,かつ集住地との関連からその過程を検証すること,である。具体的には,戦前・占領期の大阪市を対象に,人口動態と行政当局・警察の在日朝鮮人観の関連を考察する。本研究は,人口の基礎データの構築と,幅広い視点からの研究による,既存の個性記述的研究の統合的理解の促進という二点で,在日朝鮮人史研究に一定の貢献があると思われる。
 まず戦前の集住地の形成・変遷について,工業を中心とする経済的要因から検討する。当時の在日朝鮮人の多くが中小工場に就業していたが,統計資料からは,これらの工場には相対的な規模の差があったことがわかる。そしてこの相対的な規模の差が,集住地間に地域差を生み出しており,このような地域差は特定の地域(生野・東成)に自営業者層が出現させるに至った。例えばゴム工業のように,自営業者層の成長は,特定の地域に在日朝鮮人を中心とした地域経済を形成することに繋がった。さらにこのことは,集住地間に定着性という面でも地域差を生み出したといえる。次に,この人口動態が,都市政治権力を主体とする融和政策の展開にどのように影響を与えたかを議論する。その際,融和政策の前提として,(1)朝鮮人⇔近代化(2)朝鮮人⇔日本人=近代化(3)朝鮮人=危険視=治安管理の対象,という政治権力の在日朝鮮人観・図式が存在したことに言及し,集住地が融和政策の主要な対象となっていること,及び集住地の地域差が在日朝鮮人観にも影響を与えていたことを指摘する。
 占領期には引揚の結果在日朝鮮人人口は大幅に減少したものの,大阪市における集住地の解消・存続は一様なものではなかった。空襲の影響が大きかった地域の集住地は解体された一方で,その影響が小さかった地域では,戦前に形成された集住地間の地域差,特に定着性の差によって消滅ないし存続した。占領期には上述した三つの在日朝鮮人観のうち危険視的なものが卓越し,占領政策に違反しているという側面が強調された。さらにこのような在日朝鮮人観には,存続した集住地の特性が表象されていた。
 最後に,戦前から占領期にかけての在日朝鮮人観の変遷について考察し,主に二つの要因がこの変遷に関わっていたことを述べる。第一に,終戦と共に皇民化を基軸とする在日朝鮮人管理体制は崩壊し,警察が表立って治安維持を理由に在日朝鮮人を管理できなかった中で,警察は占領政策に違反する存在としての在日朝鮮人像を強調し,占領軍のオーソリティを利用することで,再び彼らを管理下に置こうと画策していた。第二に,在日朝鮮人を戦前と同じく徹底して管理しその成果を挙げることで,警察が戦後失墜したその権威を回復させようとしていた。

●新聞記事再録/神戸新聞/2002.12.2●(略)
戦時下、朝鮮語貫き獄中死/詩人・尹東柱に共感
自由への叫び、曲に乗せ/神戸の牧師、CD化

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「在日朝鮮人史研究32号」(2002年10月)がでました!!
 A5、158頁、2400円(+税)
<目次>
朝鮮人強制連行と広告募集 古庄正
筑豊の炭鉱史跡と朝鮮人追悼碑 竹内康人
朝鮮人兵士を主に編成された日本陸軍特設作業隊・臨時勤務隊について
  −北海道と樺太の場合 北原道子
朝鮮総督府令第六号「労働者募集取締規則」について(二) 福井譲
戦後活字メディアにおける<在日朝鮮人>
     −週刊誌から考える一九五〇年代の一相 内藤寿子
<資料紹介>
1.「満州」国在住朝鮮人日本渡航規制資料 樋口雄一
2.学生生活調査表(昭和18年、朝鮮奨学会) 樋口雄一
※購入希望者は、下記郵便振替口座に2400円をご送金ください。
郵便振替<00970−0−68837 青丘文庫月報>

【今後の研究会の予定】
2月9日、在日・福井譲、近現代史・佐野通夫
3月9日、在日・未定、近現代史・李景a
4月13日、在日・未定、近現代史・松田利彦

【月報の巻頭エッセーの予定】/月号(藤井幸之助)、以降は、梁永厚、金河元、高木、森川。※締め切りは前月の15日です。よろしくお願いします。

<編集後記>
・新しい年をどのように迎えられたでしょうか。本年最初の月報をお送りします。(昨年12月号は研究会案内のみのハガキ通信とさせていただきました。)
・金英達さんの著作集(全3巻)第1巻「創氏改名の法制度と歴史」(2800円)が昨年末、明石書店より出版されました。特価2300円+送料(310円)で販売します。遺族への著作料が原物で支払われていますので、出来るだけ青丘文庫研究会よりご購入ください。送金は、表記青丘文庫郵便振替口座にご送金ください。以降、第2巻「在日朝鮮人論」、第3巻「朝鮮人強制連行論」が1月末には刊行の予定です。
・本年も第2日曜日に研究会をひらきます。奮ってご参加ください。
飛田雄一(ひだ ゆういち) rokko@po.hyogo-iic.ne.jp

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