青丘文庫月報・152号・2000月9月1日
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●青丘文庫研究会のご案内●
第190回朝鮮民族運動史研究会
9月17日(日)午後3〜5時
テーマ: 「在韓華僑の現況についての研究−修士論文中間報告」
報告者:田 慶江
第225回 在日朝鮮人運動史研究会関西部会
9月17日(日)午後1〜3時
テーマ:「部落に暮らす在日朝鮮人−大阪市内地区の戦前・戦後」
報告者:藤井 幸之助
会場:青丘文庫(神戸市立中央図書館内、地図参照)
巻頭エッセイ/「ガイドブック」 佐野通夫
2年前、マレーシア航空を使って、南アフリカに行く機会がありました。帰りのクアラルンプールの乗り換えは、朝着いて晩の便まで時間があり、街に出かけられるので、出発前中身もよく確かめずに『全日空シティガイド クアラルンプール』(講談社)というガイドブックを、マレーシア全体のガイドブックより薄くて良いかなと思って買っていきました。ところがこれ、全く役に立たないのです。STAY、SHOP、EAT(リゾートホテルと食事と買い物)の案内だけ。そもそもクアラルンプールに行く人はこのような事だけを求めているのかなという事が分かりました。
前川健一『アジア・旅の五十音』(講談社文庫)を見ていたら、「ガイドブック@」という項目に次のようにありました。
「取材国で生活したことがあり、その国の主要言語も充分にできるという人がガイドブックを書くというのは、欧米を扱ったものならいくつかあるものの、アジアのものではきわめて少ない。ガイドブックのように取材と執筆に手間のかかる作業を、“学識”のある人はやらないからだ。
逆のいい方をすれば、日本人読者はガイドブックに深さなど求めていないのである。団体観光客なら、観光案内とホテル、レストラン、買い物の情報が出ていれば充分だし、個人旅行客なら、それに加えて出入国事情と交通案内が出ていればいいのである。歴史や文化や社会の話を詳しく書いたとしても、読む人は少ない。(略)
英語のガイドブックをいろいろ眺めてみると、日本語のものとはかなりちがうことがわかる。
大きく分けて二種類ある。ひとつは写真が多いもので、旅行ガイドとしてはあまり役に立たないが、その国の歴史や文化のことがよく分かる本だ。
もうひとつは、じつに詳しく広い分野を扱った実用ガイドだ。この手のガイドブックは、もの好きな個人が何年もかけて準備し、取材した労作とも言える本だ。(略)年間一七〇〇万の日本人が外国に行く時代になっても、労作的ガイドブックを求める人はほとんどいない。」(この他、「国際化」「ここの人」「日本式発音」「歴史教育」などの各項目にうなずくところがあり、この本はお薦めです)
さて、駅の売店でたまたま『初めて行く韓国ナビ』(竹書房)というムックを見つけました。それこそ、取材旅行まで漫画になっている、短期間(3泊4日)で書き上げた本です。「ひとりで行っても大丈夫!! 指さし単語帳」など付いていますが、かなり間違いもあり(「デパート」が何故か2カ所に出ていて、カタカナで「ペックワジョム」と「ペックマジョン」になっていたり)、耳から覚えた朝鮮語かなという感じです(しかし、この言葉について「朝鮮語」で通しているのは、感心)。さて、この本何かというと、韓国の風俗産業(はっきりいえば性産業)の案内本なのです。ちょうど日本のスポーツ新聞や夕刊紙に出ている風俗産業記事と同じタッチです。「取材国で生活したことがあり、その国の主要言語も(ある程度)できる」私も確かに話には聞いていても、何も知らない、もちろん案内などできない韓国の性産業の内容、料金等まで窺うことができた点で驚きです。前川氏の言う日本人読者のガイドブック必要情報に性産業も加えなければならないようです。
私が留学していた、まだ韓国旅行にビザが必要だった80年代前半には、一応団体観光旅行で韓国に来て、慶福宮の中にあった当時の国立中央博物館の入り口には「俺は中に入らない」なんぞと時間をつぶしているおっさんが多数いました。その当時、たまたま済州発釜山経由大阪行きの釜山−大阪便に乗り合わせたら、買春の自慢話を大声でしゃべるおっさんばっかりでびっくりしたということもありました。最近は女性や若者も多く韓国に行くようになって、韓国旅行も変わってきたと思っていたのですが、この7月、高松発ソウル行きに乗ったら、おっさんばかりでした(もちろん、行きの飛行機ですし、何も話しているわけではないので、自分もおっさんの一人として外見だけで判断してはいけませんが)。その晩、明洞で四節湯を探して店に入ったら、同数の韓国人女性と入ってきた日本人男性グループがありました。実際に言葉も知らずに、この「ガイドブック」だけをもとに一人で行動するには度胸がいる、だからエロ本と同じでただ読むだけとも考えられますが(もちろん、そのためにポン引きさんたちもいるのでしょうが)。1700万といえば東京と大阪を合わせた人口に少し足りないくらいでしょうか、もちろんすべてがセックス・ツアーでないにしても「一七〇〇万の日本人が外国に行く」という中身を考えさせられます(本屋で見ると、タイなどについても、同じ趣向の本が出ているようですね)。
第188回 朝鮮民族運動史研究会
2000年6月11日(日)
「三国人」という言葉の起源−新聞・議会議事録から考察する− 水野直樹
『在日朝鮮人史研究』30号(2000年10月発行予定)の論文「「第三国人」の起源・流布についての考察」参照
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強制連行調査ネットワークの集い2000 in 神戸 <資料集>
(A4 84頁 1000円 送料240円)
※ 申込みは、神戸学生青年センター飛田まで。
<目次>
プログラム 3
参加者リスト 4
地元からの報告「神戸港の朝鮮人・中国人強制連行−中国・韓国現地調査報告−」同調査する会 安井 三吉 孫 敏 男 6
鄭鴻永さんを偲ぶ 12
各地からの報告 15
フィールドワーク・ガイド
@神戸電鉄+神戸港コース 66
A西宮甲陽園地下工場跡コース 72
「強制連行調査ネットワーク」ホームページの紹介 77
案内チラシの再録 81
神戸学生青年センター・朝鮮史セミナー
高銀先生 講演会
「統一への想い−平壤での南北頂上会談に参加して−」
日 時 10月22日(土)午後3時
会 場 神戸学生青年センター
参加費 1000円
【今後の研究会の予定】
10月8日(日)
月報の巻頭エッセー
10月号(水野直樹)、11月号(坂本悠一)、12月号(李景a)、2001年1月号(出水薫)、 ※ 前月の20日までに原稿を飛田までお寄せ下さい。
編集後記
今回の集中豪雨は、雨が例年の1割弱という神戸には恵の雨でしたが、名古屋等で大きな被害を与えました。みなさんのところはいかがでしたでしょうか。