むくげ通信207号(2004年11月28日)
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韓国障害者グループの日本での抗議活動  飛田雄一
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 韓国の障害者グループが1118日、神戸にやってきた。センターに1泊してから日本での行動である。来日したのは「正立会館民主化のための共同対策委員会」http://access.jinbo.net/jeongnip/ の2人。正立会館は、韓国小児麻痺協会が運営する韓国最初の障害者利用施設で90年代に二度も座り込み闘争が行われたが、この経験をへて2000年代に入って地域の障害者施設として発展してきたという。しかしこの会館と韓国小児麻痺協会が、李浣洙館長の65歳定年を突然の規約改正により定年延長を決定。これが障害当事者代表の参加と選択保障を徹底的に踏み付けてしまった暴挙だとして、労働組合と施設の障害者が622日、定立会館官長室及び事務室を占拠して闘いを始めた。館長側はストライキに参加した組合員を解雇し、98日には暴力団を使って職員、支援にかけつけた障害者に暴行を加えた。この事件は韓国のマスコミにも何回も報道され韓国社会に大きな反響をよんでいる。(ちなみに、インターネット http://www.ocn.ne.jp/translation/ に上記ホームページアドレスを入力すると韓国語のホームページが日本語で見ることができます。機械翻訳ですが・・。)

 韓国では、@暴力蛮行を恣行する経営陣は直ちに退陣せよA正立会館発展のための特別委員会を直ちに構成せよB暴力蛮行主動者を処罰せよなどの要求を掲げて座り込み・篭城闘争が行われている。

 その李浣洙館長が団長となり津山で開かれる第17回国際車いす駅伝大会に参加することになって抗議行動のために来日したのである。対策委員会のメンバーは車いす大会そのものに反対しているものではない。李館長が「障害者を代表する資格も障害者福祉を唱える資格もない」ことをアピールするために来日したのである。組合弾圧、暴行行為などへの抗議の意思が強いが、なによりも、闘争が外部のものに指導されたもので重度障害者は自ら判断し行動する能力がない、と無視する李館長に対する怒りが大きなエネルギーとなっているようだ。

 神戸についてからはハードスケジュール。翌19日から岡山県津山市で大会関係者に申し入れ行動、抗議行動など。

 彼らの主張の大切な部分が「移動権」。初めて聞いた言葉だが彼らの造語で、障害者が自由に移動する権利を持っていることを表現する言葉だ。日本のいまだにこんな大きな駅にエレベータがないのか、とびっくりすることがあるが、韓国もひどい。ソウルの地下鉄の駅へのエレベータの設置を求めて障害者が線路に座り込むという闘いも展開されている。つい先日にも、鉄道事故でなくなった障害者のための抗議行動が行われ、地下鉄7号線?を3時間?止めたとこのとだ。

 日本での最終日、日本での支援グループが神戸学生青年センターに集まって交流会を開いた。津山まで馳せ参じることのできなかった私もこの交流会に参加した。(右の幕は「理事会は館長延任決定を即刻撤回せよ!」)

 韓国からの若いふたりを日本のおじさんたちが支援する今回の行動であった。二人の報告会でのお話を聞いていると、車いす駅伝の参加者・関係者たちも彼らの話を聞いてくれて、目的はそれなりに達成できたとのこと。韓国では民主化闘争が進展し、労働組合の活動も活発になり、その流れが障害者解放運動に広がっていることを私たちに教えてくれた今回の行動だったと思う。ハードスケジュールをがんばった韓国のおふたり、そして支援活動に携わった上の記念写真のおじさん、おばさん(失礼、もちろん私もおじさんです)たちに、拍手を送りたい。

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