神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会

2004年2月19日(木) THE WEST AUSTRALIAN

「戦争当時の記憶が日本の若者に、その真実を語る」

1987年、オーストラリアで出版された John Lane Summer will come again

 

 西オーストラリア州出身の兵士の記憶が、日本の戦争当時のことを知ろうとしている現代の日本人たちとって、単なる過去の記憶とは思われていないことが分かった。

 サウス・ユンダラップに在住のジョン・レイン氏は1942年2月のシンガポール陥落によって日本軍の捕虜となった。そのときのレイン氏の記憶は鮮明であり、驚愕を覚えるものである。

 (否定していたものを)許容しようとする現在の日本文化の一面を示すかのごとく、現在81歳になる同氏の本「夏は再びやって来る」が日本で翻訳され、史実を認めるようとするねらいで、来月神戸で出版される。

 (記録を取り上げている)「神戸港を調査する会」によると、レイン氏の記録は、捕虜の日々の生活や労働状況を記した非常に貴重な本である。

 同氏はシンガポールで10万人にもわたる捕虜の一人となり、捕らえられてからの約3年間、チャンギー収容所に抑留された後、日本に移送され、奴隷のように港湾荷役などの労働をさせられていたことが書かれている。

 安井三吉氏を代表とするこの会のメンバーの一人は次のように語っている。「神戸における捕虜の記録は他にはまだ見つかっておらず、その意味でもこの本は非常に貴重である。我々の会は、この本が戦争の悲惨さを忘れることなく、オーストラリアと日本の平和のみならず、全世界の平和に結びつくよう願っている。」

 レイン氏は、筋肉を司る神経系統の病を抱えて7年になるが、来月3月13日の出版に出席するため日本へ発つ。

 (同氏の通っていた)フェアブリッジ農場学校の元学生たちや、オーストラリア帝国軍隊機関銃大隊の元兵士たちは、彼の本が、当時の捕虜に苦渋の思いをさせた、その日本の子孫たちに語られることを誇りと思っている、と述べている。

 憎しみは消えても、苦渋の涙は癒されない。シンガポール陥落の時に、氏は臼砲の砲撃にさらされていた。「私は、次に息をする瞬間が私の命の最後かもしれないと思い続けた。そして私は、この雨のように降り注ぐ砲撃が、なぜ私を生かしているのか分からなかった。」と語っている。

調査する会神戸学生青年センター